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高齢者の筋力低下による病態

  • ゆう
  • 2018年9月5日
  • 読了時間: 4分

今回は少し専門的で難しい内容のため長くなります。前半は病態の説明、後半は予防のために必要なこと、です。必要なところをピックアップしてお読みください。

超高齢化の現在、運動器などの機能低下によってADL(日常生活動作)、QOL(生活の質)が損なわれる病態も様々な分類があります。

サルコペニア:加齢による筋力の低下により身体機能が低下した状態。加齢以外に明らかな原因のない一次性のものと疾患や栄養等が原因となる二次性のものがあります。

ロコモティヴシンドローム:筋肉、骨、関節などの運動器の障害により身体を動かす機能が低下した状態。筋肉によるものがサルコペニアにあたり、他、骨では骨粗鬆症による骨折、関節では変形性関節症などがあります。以下、ロコモと略します。

フレイル:「筋力の低下によって動作の俊敏性が失われ転倒しやすくなる身体的問題」「認知機能などの精神、心理的問題」、「独居などの社会的問題」を含む大きな概念。

身体的フレイルの一部がロコモでありロコモのうち筋肉によるものがサルコペニアに分類されます。概念的で難しいですね(笑)フレイルについては社会全体の問題であり、ロコモについては病院、接骨院での対応がメインとなりますので、そのうち生活のなかで予防できることの多いサルコペニアについてが以下の内容です。

まず、現在の状態を確認する、と言う意味で簡単な指標があります。

指輪っかテスト:両手の親指同士、人差し指同士をくっつけて輪っかを作ります。その輪っかでふくらはぎの一番太い部分を囲んでみてください。もし輪っかがつながって隙間ができるほどふくらはぎが細い場合はサルコペニアの可能性が高いです。

片足立ち上がりテスト:40cm程度の椅子に浅く腰掛けた状態から片足で立ち上がります。両足とも立ち上がれたら合格です。

国立長寿医療研究センターが出したチェックリストとしては

①歩くのが遅くなった(横断歩道を渡りきれない)

②手すりにつかまらないと階段を上がれない

③ペットボトルのキャップが開けにくい

のうち一つでも当てはまると可能性がある、と言われています。

細かい診断基準としてAWGSの基準があります。

歩行速度が遅い(0.8m/sec以下)または握力が弱い(男:26kg以下、女:18kg以下)の人で低筋肉量の人がサルコペニアに該当します。

サルコペニアに陥らないための予防には、運動、食事などが大事です。運動としては高齢者の方が対象、とうことでスロートレーニングが基本となります。

立ち上がり動作のための筋肉として太ももの前面の筋肉、大腿四頭筋があります。ここを鍛えるためにはまずはスクワット、です。

①肩幅に足を広げつま先は正面から多少外をむく程度で立ちます

②両手は前で交差して背筋を伸ばし正面を見たまま、お尻を突き出すようにして息を吸いながらゆっくり3秒程度かけながらつま先と同じ方向に膝を曲げていきます。

③膝がつま先より前にでないようにしながら可能な限り腰を落とし1秒そこでキープ。

④息を吐きながら3秒程度かけてゆっくり膝を伸ばします。このとき完全に伸ばしきらないようにしましょう。

※可能なら鏡で全身を見ながらやりましょう。不安がある方は椅子やテーブルに手をつきながらはじめてもOKです。

また、大腿四頭筋のストレッチとして、正座になって身体を後ろに倒していく、片足立ちで同じ方の手で足の甲を持ち踵をお尻に近づけていく、などあります。ストレッチは痛みがでないように、気持ちが良い範囲で、10秒かけて伸ばし10秒キープし、10秒かけて戻る、くらいのペースを意識しましょう。

また、ベットから起き上がる動作で必要となるのは腹筋です。腹筋を鍛えるためには臍のぞき腹筋、です。

①仰向けで膝を立て腕は胸の前で交叉します。

②3秒かけて息を吐きながら背中を丸め臍をのぞき込むように30°くらいまで上体を起こします。このとき首が曲がりすぎないように注意し、腹筋に力が入っていることを意識してください

③1秒キープし、息を吸いながら3秒かけて戻ります。このときは完全に戻らずに少し浮いてるくらいのところで我慢してください。

その他、ふくらはぎの運動で、まっすぐたった状態でつま先立ちを繰り返す、踵上げなども効果的です。これらの運動をストレッチも加えながら、全力の80%以上の力で8~12回を2,3セット、週3回を目安に行えるといいですね。

上記の運動に加え、栄養も重要です。いくら運動しても筋肉の元となる栄養がないとつきませんからね。

特に高齢者の場合、食欲も落ち、動物性のたんぱく質が少なくなっていく傾向があります。健康な70歳以上の方で1日に必要なたんぱく質は男性で60g、女性では50gが平均で、大体適正体重1kgあたり1g以上のたんぱく質の摂取が必要と言われています。

たんぱく質が多く含まれる食品は、肉類、魚介類、卵類、乳類です。

まずは通常の食事に加えてたんぱく質を10g(牛肉なら40g、牛乳なら300cc目安)、1日に数回に分けて摂取しましょう。

保健機能食品やサプリメント、プロテイン飲料なども利用してかまいません。

以上となります。まだまだ書きたいこともあるのですが長文になってしまいましたのでやめておきます(笑)

寝たきりの生活にならないためにも意識できることはしっかり意識して健康的な生活を送りましょう。


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